シャルロット すさび

東京上映は新宿K’S cinemaで10月19日まで。開演は朝10時、

1日1回の上演だ。この後大阪、広島などでの上映も予定

されている。詳細は作品ホームページでご確認頂きたい。

http://www.iwanabutoh.com/film/susabi/indexJP.html

 フランス在住30年の舞踏家、岩名 雅記氏4作目のムービーだ。ファーストシーンが、今作のテーゼを見事に集約している。広大な麦畑に鳥の囀り、虫たちの合唱が長閑な情景をいやが上にも盛り上げ、観ている者を安堵に誘う。全裸の女が独り立っている。この人と自然が調和した里山のような平和を、突然崩す爆音が響く。恐らくは軍機の飛ぶ飛翔音であるが、この爆音は、辛うじて保たれていた自然の鬼っ子・「人」と自然の調和を暴力的に破壊するに充分だ。より端的には人類が自然に与える暴力そのものを象徴するシーンだと言える。

 少し細かく分析しておけば、ジッドを出すまでも無く、麦は動物である我々が生命を維持する為の大切な食糧そのものを意味し、そこに集う鳥たち、虫たちの混声合唱団は、自然の恵みを受けた生命の多様性と歓喜を表しており、素裸の女は人に残された最後の自然、即ち“身体”を象徴している。素裸はその裸形そのものの直接性だ。