米大使館のエルサレム移転 新聞にも その意味する所

「焼け焦げるたましい」ピープルシアター第49回公演    芸術劇場小ホール 2009.10/28~11/3      

ワジディー・ムアワッド。レバノン生まれ、フランス移住、カナダ国籍、フランス在住。これが、今回のピープルシアター上映作品作家のプロフィールである。上演作品名は、“焼け焦げるたましい”アビニヨン演劇祭で、絶賛された作品を、今迄、数多くのカナダ演劇を、日本語に、翻訳してきた吉原 豊司氏が、翻訳、演出家、森井 睦氏が、舞台化した。上演は、池袋にある、芸術劇場小ホール2で、11月3日までだ。

結論から、言えば、シナリオ、演出、演技、効果など、どれをとっても、最高点に近い、日加演劇史上の画期的事件、伝説の名舞台として、後世に語り継がれることになるかも知れぬほどの、名舞台である。

簡単に、あらすじを述べておこう。作家のプロフィールから、敏感な方なら、感じ取るであろう、戦争による難民の物語である。

舞台が、開くと、遺言執行の場面だ。公証人が、遺書を読み上げる。その遺書には、彼女の子供達へのメッセージが、書かれている。曰く、双子の兄弟の姉には、父を探し、父宛の手紙を手渡すこと、弟には、兄を探し、兄宛の手紙を手渡すこと。これらのことが、成就された暁には、彼らのもとへ、一通の手紙が、届く。

母からのメッセージに対し、ボクサーを目指す弟は、遺言の実行を拒む。しかし、数学者の姉は、遺言に従うことを選び、生きているかどうか、また、何処に居るかも分からない父を探す為、カナダから母の故郷、中東へ向かう。文字通り、当てのない旅ではあるが、彼女は、母の辿った人生を遡ることで、母の5年に及ぶ、沈黙の意味を悟る。

一方、頑なに、遺言執行を拒んでいた弟も、別ルートから、兄の探索を始め、こちらも、母の沈黙の意味したものに、辿り着く。1足す1は、2だ。誰が、考えても、他の答えは無い。だが、1足す1が1になる場合が、在るとしたら? 

結末は、敢えて明かさないが、単に、現代の戦争と戦火に追われて逃げ惑う「かわいそう」な難民物語では無い。戦争の齎す破壊の中で、人は、どのように生き、どのように、人生を選び、どのように、翻弄され得るのか、単に現代のみならず、ギリシャ以来の伝統、普遍的主題に切り込んだ、衝撃的な内容である。

以下東京WEBより

米大使館エルサレム移転で提訴 パレスチナが国際司法裁に

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 【ブリュッセル共同】米国がイスラエルの大使館をエルサレムに移転したのは国際法違反だとして、パレスチナ自治政府国際司法裁判所(ICJ)に提訴した。違法性を確認し、米国に大使館の撤去命令を出すようICJに求めた。ICJが29日発表した。

 訴えは28日付。「外交関係に関するウィーン条約」は在外公館について「接受国の領域で取得する」としているが、エルサレムの地位は国際的に定まっていない「特別な地位」にあるため、米大使館設置は同条約違反だと主張した。

 トランプ米政権は昨年12月、エルサレムイスラエルの首都と認定し、今年5月に大使館をテルアビブから移転した。

 東京WEB